組織のパワー不足は人員が確保できていないことに原因を求めることがあります。中小企業ではネームバリューもなく、大企業と同じラインで求人することははかない夢に思えるかもしれません。解決策はどこにあるのでしょうか。
人手不足問題 技能実習生で考えたこと
日本国内で求人できないなら・・と、安いマンパワーを国外に求める動きもあります。
技能実習生の制度はこうしたニーズに従い、徐々に拡大する傾向にあります。
次のコストを覚悟する必要があるのはおわかりかと思います。
・実習生への給与
・給与にかかる社会保険負担
・外国人雇用にともなう福利厚生の整備
加えて、実習生を監理する組合等へのコストもかなり大きいということをご存知でしょうか。
またこれらの組織を通じて国からの監査も受けることになり、社員負担が新たに発生します。
こうして考えると、この制度は果たして会社にとって妥当なのでしょうか。
しかも彼らは数年で帰国を余儀なくされることになっているのです。
実習生は本当に安いか
人を雇うということは、給与や社会保険負担が必要です。賃金を抑制できれば、付随する社会保険負担も低水準になります。したがって他の条件が変わらなければ利益が残る体質にできます。
しかし、生産性は向上するのでしょうか。あるいは会社の文化はあなたが描くイメージに近づくのでしょうか。
長く貢献するはずの若い社員を採用せずに、数年で交替する人員を使い続ければどうなるでしょう。
・彼らを監督指導するスタッフたちの高齢化
・同スタッフの能力の低下
このスタッフたちの技量はすでに一定水準にありますから、今後大きく上がることはありません。
むしろ実習生の面倒をみることを目的にキャリアを積んできたわけでもないことから、モチベーションの低下を招くことが予想されます。
また関わる実習生たちは常に若い人材であることから、本気で競い合うような刺激を受けることも減少するでしょう。スタッフの技量は長期的に下がるかもしれないのです。
またこうした管理能力のある人材の補給は容易ではありません。転職市場にいる方たちが自社で活躍できる保証はないのです。高いうえにお荷物になる危険があります。
つまり低コストの代わりに、組織の疲弊を招いている可能性があるのです。本当に安く済んでいるかもあやしいところですが。
同じ構図は、安い給与で非正規社員を多人数雇う業種にも共通しているかもしれません。社員として定着しないで入れ替わることをモデルに組み立てている場合には同じ危険があります。
本当の解決策は人材の活用に
そもそもこうした人員を使うとき、経営者のあなたは自分の社員としてどのようにみていますか。少なくなれば増やせばいい、交換可能なパーツでしょうか。
家族を養いつつ、懸命にプレッシャーに耐えてきたかつての自分と重なる姿でしょうか。
パーツであれば、コミュニケーションはさほど気にする必要はありません。でもそうした雰囲気は必ず他の社員にも伝わります。幹部に対しても。
いつしか、お金だけの付き合いしか残らない・・そんな疎外感を味わうことにならないでしょうか。
今からでも、遅くはありません。
あなたの人間性を伝えるコミュニケーションを活発化させ、社内にあなたのファンを増やしましょう。
交流の多い組織なら危機にも強いのは明らかです。
イキイキとした社員を増やすには、かかわりを増やして、彼らの良い点を見いだし評価していく姿勢をあなたが先に示すことが欠かせません。
中小企業なら雰囲気の変化は、すぐに現れることでしょう。
待遇を含め人間としての魅力も引き出せる職場なら、人材の流出は減少するでしょう。
社員が次の社員を連れてくるような好循環すら生まれるかもしれません。
あなたがコミュニケーションに自信がない理由は何でしょうか?